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CNA新社屋外構計画

2015.10.18

これは再セットアップ前の状態

秋田ケーブルテレビ(CNA)新社屋外構計画の第一弾のディレクション。
かなりチャレンジングな提案に理解を示していただきたCNAに感謝。
以下は提案コンセプトです。
↓ ↓ ↓

BIYONG SCAPE
CNA新社屋外構計画~2015.10.17

昨年の6月、CNA新社屋の外構に仮設設置された足場は、実は工事を目的として組み上げられた訳ではないということが、今回のプロジェクトの中核を成している。

そもそもCNAの新社屋への移転計画は、限られたコストで内装改修工事とテレビ局としての基本機能の移植に集約させる決断が下されていた。そして、外構はというと美大が提示した10年間をかけて完成させるというBIYONGSCAPEのコンセプトの下、CNAと共同で計画を進めていくこととなった。

美大が企画立案から実施案を構築するまでの空白の期間を繋ぐためにCNA自らが取り組んだ計画は、ある日、現地に集まった美大教員(アーティストやデザイナー)の度肝を抜いた。「これから何か始めるよ!」と市民に伝えるために、新社屋の外構に工事をするでもない足場が組まれていたのである。これから何かが始まるメッセージとしての足場の存在。

我々は、その衝撃をCNA自らが発信したメッセージとして保存するというプロジェクトへと展開した。本来、足場は何かしらの工事のために組まれるものである。しかし今回は、メッセージのために組まれた足場を一度解体し、きれいに塗装し直した足場を再び外壁にセットアップするというインスタレーションモニュメントの提案となっている。塗装された足場は、これから我々の想像を超えたメッセージを発信し始めることになるだろう。

当然ながら足場の構造材としての本来の機能を活かして、自由なレイアウトによるバナー広告の設置や、アートイベントへの展開といった具体的な利用価値も視野に入れている。

ところで、この足場は通称ビティ足場と呼ばれ、1940年初頭に米国のデヴィッド・イー・ビティによって考案されたものである。1952年に日本に初めて輸入され翌1953年から国内製造が開始された。この足場鋼材は、半世紀を超えた今も世界中の建設現場を支え続けている近代デザインにおける究極のプロダクトの一つとして捉えることができる。

今では余りにも一般化されてしまっているため、改めてその優れたプロダクトデザインとしての背景を意識することはなく、殆どの人々は目に止めることはない。梱包材におけるダンボールや造作物における合板のように、非常に優れた構造と性能開発を規格化し大量生産することで実現した極端なローコスト化が、それ自体が持つ本来の物質としての高い価値を、あたかも価値の低いものと錯覚してしまう背景と似ている。

産業革命以降、経済社会の複雑化が加速し続ける現代において、一見その社会に埋もれて見失ってしまいがちな事象を拾い上げ、人々に羅針盤としての機能を果たすテレビメディア。今回の連携プロジェクトがCNAにとって新たなる出発の記憶として刻み込まれることに期待する。

秋田公立美術大学

参考文献:一般社団法人仮設工業会HP「足場の歴史~現代」より
→ http://www.kasetsu.or.jp/history/p03.html

 

2015年

CNA新社屋外構計画
2015.10.18
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