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街の小さな小さなプロジェクト。
2020.12.1
街の小さな小さなプロジェクト。
とある友人から、知り合いの喫茶店の壁にイタズラ描きをされたので相談に乗ってもらえないか?とのお話をいただいた。
美大ということで、街中の壁に壁画を描いて欲しいという依頼が多くある。
街中の壁は、個人の所有物であっても第三者の目に入る時点で公共的な義務が発生するから、僕は壁画という言葉を使わない。
壁をピンク色にして欲しいとか、好きな絵を書いて欲しいという依頼は、その壁を取り巻く社会環境に対して、極めて個人的で一方的な発信になるから・・・
その壁のオーナーが持つ想いやコンセプトと、その壁を日常的に目にする地域住民への新たな価値発信の役割、更にはその壁を通して如何にインタラクティブな関係性を誘起させるか?といった問いにチャレンジしていきたい。
喫茶キートスのオーナーの戸井田さんはリフォームや住宅設計にも精通する方で、このような考えにお互い共感し意気投合したことで、今回の「街の小さな小さなプロジェクト」がスタートした。
プロジェクトメンバーは、通常の授業の枠を超えて更なる学びに興味を持って参加してくれた1年生の坪谷さんと諸江さん。
1年次にして、そうした背景を深く理解しつつしっかりとした調査と提案を行いました。
壁面装飾の制作は、すべて諸江さんがコツコツと一人でやり遂げました。
現地での取り付けは2年生の先輩が手伝ってくれて、8月初旬のスタートアップミーティングから通常授業の合間を縫いながら4ヶ月間に及んだプロジェクトは雪が降る前にしっかりと完成しました。
現場施工では、プロである依頼者の戸井田さん(先生)が学生指導を担当してくれて、現場での実務を経験することができました。
大学での通常授業だけでは得ることのできない社会と接続したプロジェクトにできる限り早い段階で関わることで、大学4年間の成長の加速度が大きく変わってきます。このプロジェクトをやり遂げた学生のこの後の成長にとても期待しています。
小さな花器や小さな棚の設営によって、こここの壁に触れる人々が、身近に花開く植物を生けてみたり、ちょっとした小物や子供達が拾ったドングリやセミの抜け殻みたいなものが置かれて、そしてそれを拾っていくようなほのかで優しさに溢れる壁になっていくことを願っています!
近くをお通りの際はぜひ草花を生けたり、小さな棚に何かおいたりと立ち寄ってみてください。
喫茶キートス、とても素敵なカフェです!
ディレクション:今中隆介
デザイン:坪谷菜摘美、諸江一桜
制作:諸江一桜
取り付け:諸江一桜、斉藤みこと(指導:戸井田成人)